中小企業診断士2次・事例1「組織人事」|その特徴と対策方法を合格者が解説!!

中小企業診断士2次試験において、その掴みどころの無さから、苦手意識を持っている受験生が多いのが事例1の「組織・人事」。

今回は、そんな事例1の特徴と対策方法について、2次試験に3回受験したサイト主が解説していきます。「これさえ覚えておけば、事例1対策は万全!!」というファイナルペーパーもありますので、是非最後までご覧ください。

では、早速見ていきましょう。

事例1「組織・人事」の試験の特徴

他の2次試験の科目と比較すると、事例1に関しては以下のような特徴があります。

与件文が短く、回答根拠が曖昧であることが多い

事例1の与件文は、1ページ前後です。事例2や事例3が4〜6ページくらいある事を考えれば、相当短いことが分かります。

逆にいえば、説明事項が不十分と感じることや、回答の根拠となる箇所がない(ように見える)問題が多いのも特徴です。代表的な問題が、H24年度の事例1ですね。

「A 社は、Y 社の要請による海外進出を実現していないが、X 社の要請に応じて、2002 年に東南アジアの新興国 S 国に初めて生産拠点を設けている。Y 社の要請による A 社の海外進出が実現しなかったのはなぜか。X 社の状況を考慮に入れて、考えられる理由を 100 字以内で答えよ。」

という設問があるのですが、X社の状況もY社の状況も、与件文には十分には記載されていません。X社とY社の対比関係を意識しながら、答えを「推測」していくしかないのです。

正直、「ふぞろい」の解説を読んでもしっくりこないほどであり、サイト主が、事例1に対して苦手意識を植え付けられた瞬間でした。

回答根拠が曖昧な問題が毎年出題される訳ではありませんし、ここ数年は根拠が分かりやすくなってきている印象はあります。ただ、他の事例問題よりはその頻度が多いということは覚えておきましょう。

A 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅰ

(H24の過去問へのリンクです。中小企業診断士協会の公式サイトに飛びます。)

覚えておくべき事項が多い

他の事例問題と比較して、事例1は暗記すべき事項が多いのが特徴です。

例えば、「機能別組織」「事業部別組織」「マトリックス組織」のそれぞれについて、メリットとデメリットを完璧に把握しておく必要があり、出題頻度もかなり高いです。

つまり、「推定などによって回答を導く問題が出題される」一方で、「明確に正解不正解が存在するような問題も出題される」ということです。この二面性が事例1の特徴と言えます。

問題傾向は、毎年あまり変化しない

事例2や事例3に関しては、定期的にトリッキーな問題が出題されます。

例えば、H26年度の事例2におけるデシル分析の読み取り問題、H28年度の事例3における特性要因図(フィッシュボーン)を用いた問題などが挙げられます。

B 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅱ

(H26の過去問へのリンクです。中小企業診断士協会の公式サイトに飛びます。)

C 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅲ

(H28の過去問へのリンクです。中小企業診断士協会の公式サイトに飛びます。)

よくよく考えると決して難易度は高くない問題が多いですが、試験本番という緊張度が最高潮の状況だと、何も書けずに終わってしまったり、的外れな回答をしてしまうケースが散見されます。

一方で事例1に関しては、出題傾向や出題方法に殆ど変更がありません。ある意味で対策が立てやすいのが特徴であり、形式変更によって裏切られることはまずありません。

ちなみに、事例1の設問1では、SWOT分析やマーケティング的な問題が出題されるケースが多いです。

対応策と勉強の方向性

前述の通り、題意の掴みづらい問題や、回答根拠が分かりにくい問題が出題されるのが特徴です。また、問題文も短いため、知りたい情報が十分に記載されていないことも多いです。

残念ながらそういった問題に関しては、対比関係や前後関係を正確に読み取り、題意を外さないように努力する他ありません。他の事例問題と比較して、「受験国語的な読解力」が最も要求されるのが事例1と言えるので、国語が苦手なサイト主としては結構苦戦しました。

ただ、こうした読解系の問題に関しては、難易度が高く他の受験者も得点を上げられていないケースが多いです。あまり悩みすぎずに「割り切り」をつけ、部分点狙いで回答を埋めて、次の問題に移行することが重要です。

一方、他教科よりも暗記系問題が多いということは、裏を返せば、「ある程度は暗記で対応可能」という意味です。

必要な知識を完璧に覚え、頻出される問題文に対して回答を予め準備しておくことによって、効率的かつ的確に点数を稼ぐことができるのです。

まあ、覚えることが多いとは言っても、1次試験の比ではありません。覚えるべき範囲もかなり限定的ですので、完璧に覚えましょう。サイト主のように、「国語力」に自信のない人ほど、事前準備=暗記によって事例1を攻略する事をお勧めします。

ちなみに、下にあげた項目は、ファイナルペーパーからの抜粋です。日々の勉強を通して毎日加筆・修正を繰り返して作ったものであり、2次試験に際して実際に使用したものです。

これさえ覚えれば、知識負けすることは絶対にない」と断言できるほどの自信作ですので、丸暗記する勢いで使っていただければと思います。

中小企業診断士2次試験 事例1ファイナルペーパー

mindnodeというマインドマップツールで作成しています。

覚えるべき項目抜粋

モラル・モチベーションの向上

  • 能力開発方法(OJT、OFF-JT、自己啓発、社員教育、研修)
  • 評価方法(透明性、公平性、納得性)
  • 業績連動型賃金のメリット、デメリット、注意点
  • インターナルマーケティング(能力開発、マニュアル化、モチベーションアップ)

「業績連動型賃金を導入するに当たってのメリット・デメリットは何か?」というような問題が、普通に出題されます。

もちろん、与件文の前提事項は踏まえて回答する必要はありますが、瞬時にメリット・デメリット・注意点を思い出し、取捨選択しながら回答を記載すれば合格点です。

人材の活用

  • 対女性(活用するための制度・方法)
  • 対若手社員(活用するための制度・方法)
  • 対高齢社員(活用するための制度・方法)
  • 対正社員(メリット・デメリット、活用するための制度・方法)
  • 対非正規社員(メリット・デメリット、活用するための制度・方法)
  • 対外注(メリット・デメリット、活用するための制度・方法)

それぞれについて、人材を活用するためにはどのような方策があるのかを暗記しましょう。 例えば、女性であれば、育休、産休制度、就労時間の短縮化、社内保育所制度、復職支援女性管理職への登用、といった制度を覚えておけば、2次試験ではまず困ることはありません。

また、正社員・非正規社員・外注の項目に関しては、それぞれ活用する上でのメリット・デメリットも押さえておく必要があります。

実際の試験でも、「A社はこれまで、新卒社員は採用してこなかった。なぜか?」「A社はこれまで、非正規社員を多く活用してきた。非正規社員を活用するメリット・デメリットを答えよ。」みたいな問題が、2〜3年に1度は出題されています。

組織形態の特徴

  • 機能別組織(メリット・デメリット)
  • 事業部別組織(メリット・デメリット)
  • マトリックス組織(メリット・デメリット)

こちらも、最頻出事項の一つです。

良くある出題ケースとしては、「元々機能別組織だったが、変動する外部環境へ対応するために、マトリックス組織へ移行する」といったケースが想定されます。

その他の頻出テーマ

  • 事業承継(事業承継のプロセス、留意点)
  • 所有と経営の分離(メリット・デメリット)
  • 友好的買収(メリット・デメリット)
  • 組織活性化(内部連携、外部連携、権限委譲、評価制度の変更、能力開発、プロジェクトチーム)

これらの項目は、過去10年以内に複数回出題されているテーマです。

まとめ

2次試験の中で、事例1「組織・人事」が最も覚えるべきことが多いとは言っても、高が知れています。

掴みどころのない設問に対しては、国語的な読解力を高めて対応しつつ、ある程度見切りをつける。その一方で、基本事項を徹底的に叩き込み、暗記によって合格点をもぎ取る。

これが、事例1の王道合格パターンです。是非、事例1対策の参考にしてもらえればと思います。