
中小企業診断士の2次試験は、各事例80分という時間が設定されています。
その時間内で、与件文をチェックし解答を記述していく訳ですが、本当に時間が足りません。
では、確実に60点をもぎ取るためには、どのように時間を使えば良いのでしょうか? 3度の受験を経て合格したという「2次試験ベテラン」のサイト主が、80分の時間の使い方について解説していきたいと思います。
時間の使い方のアウトライン
- 与件文冒頭内容の確認(5分)
- 設問内容の確認(5分)
- 本文確認、解答根拠抽出(30分)
- 回答記入(35分)
- 見直し、その他修正(5分)
与件文冒頭内容の確認 (5分)
まずは与件文冒頭の1〜2段落くらいを読み、企業概要を把握します。 把握するべき内容は色々ありますが、だいたい以下の内容です。
- 当社の業種、業界
- 商流
- 内部環境(強み、弱み)
- 外部環境(機会、脅威)
- 売上や利益規模
- 従業員数、社員数と非正規社員数の比率
- 社長の考え、ビジョン
この段階だけでも、相当量の情報を読み取ることができますね。
冒頭文に書かれている内容は、全ての設問の前提条件になってきます。 大事なことなので2回言いますが、冒頭文に書かれている内容は、全ての設問の前提状況になります。
例えば、「社員の幸福を、何よりも最優先してきた社風」などと記載があるのであれば、社員教育の強化・マニュアル化・標準化・権限の移譲とかが解答の方向性として見えてきそうですよね。
慣れてくると8割くらいの確率で、当初想定した通りの方向性での回答で合っています。 ですので、試験開始冒頭のこの5分間は、侮ることなく情報収集に徹して下さい(最終目標は3分!!)。
ちなみに、冒頭文のみならず与件文全体に言えることですが、「」で括られた表現、何度も出てくるフレーズ、逆接の接続詞や副詞で強調された文章、注記などは、重要であることが高いです。
これは出題者からのヒントであり、「与件文のこの部分を回答根拠にして下さい。重要ですよ、重要ですからね!」というメッセージです。見落とさないようにしましょう。
設問内容の確認(5分)
次に、設問内容の確認です。これも、非常に重要なフェイズです(全部重要ですが笑)。 また、設問文の内容自体が「与件文の一部」でもあります。
各設問を詳しく読み、何を回答すれば良いのかを明確に把握して下さい。
- 回答するべき内容は、問題点ですか?課題ですか?改善策ですか?
- 誰について書くべきですか?
- A社についてですか?企業一般についてですか?
- 前提条件はどうなっていますか?
- 「〜を考慮して」「〜と比較して」などと書かれていませんか?
- 求められている内容は知識系ですか?アイディアですか?
上記はほんの一例ですが、考えるべきことがたくさんありますよね。
ちなみに、知識系やSWOT系の問題であれば、既に回答可能な問題もあると思います。こういう問題については、回答するべきことを単語レベルでメモしておきましょう。
設問文の更なる攻略記事については、こちらをご覧下さい。
本文確認、解答根拠抽出 (30分)
まず一つの重要な前提条件としては、「各設問の回答根拠は被らない」というものがあります。 例外は稀にありますが、設問1の回答に対応する与件文の根拠は、設問2の解答根拠となることはまずありません。
ですので、「この箇所は設問3の回答に使えそうだ」というように、本文を読み進めていきましょう。
ヒントとしては、設問文と同じフレーズや表現が使われている場所や、内容的に関連している箇所を与件文から探し出すのが基本です。
イメージとしては、30分間で「本文確認・回答根拠抽出」の作業を2周程度行えるペースで進めて下さい。そして、回答根拠の抽出漏れがないか、回答根拠の重複がないかを改めて確認して下さい。
そして、ここでお勧めしたいので、5色蛍光ペンの活用です。
私の場合ですと、設問1は黄色、設問2は緑、設問3は青、設問4はオレンジ、設問5はピンクという風に決めています。最初のうちは、「設問3って、何色だったっけ?」などとなるかもしれませんが、数回過去問を解いていればすぐに覚えます。
上記の写真は、実際に私がマーカーした設問文ですが、まあカラフルですね笑
視覚的にも分かりやすいので、実際に回答を記述していくという時にも、回答根拠を探す時間が省けます。シャーペンなどで線を引いただけですと、根拠を探すのに時間がかかったり、見落としが出やすくなってしまいます。
ちなみに、電車や喫茶店で、カラフルにマーカーを塗っていたり既に塗ってある問題を読んでいたりすると、隣の席の人などから驚かれたりすることもありますが、気にしないで下さい笑
回答記入(35分)
実際に回答欄を記入していきます。
トータルで600〜1000字くらいの回答ですので一見少なく感じますが、実際には時間的な余裕は全くありません。ですので、マーカーを引いた回答根拠をベースに、どんどん回答用紙を埋めていきましょう。
完成度8割くらいだったり、「こんな回答でも大丈夫かな?」と思うような内容でも、とにかく回答欄を埋めて下さい。
中小企業診断士の採点方法は公表されていませんが、おそらくは「キーワードやフレーズに対する加点方式」です。『「海外進出」というキーワードでプラス3点』というような方式であることが推測されているので、とにかく要素を詰め込みましょう。
尚、所定の字数内で解答を収めるテクニックや、プラス1つ解答要素を追加するテクニックなどについては、別記事に書いていこうと思います。
見直し、その他修正(5分)
最低でも5分間、可能であれば10分は見直しの時間を捻出しましょう。
確認するべき主な事項は、以下の通りです。
- 誤字脱字はないか?
- 設問で聞かれている内容に対して、しっかりと解答しているか?
- 設問間で、解答根拠の重複はないか?
- 各設問の回答に一貫性はあるか?
回答内容が不十分と思われる設問についてプラス1点を取りに行くことと、誤字脱字等を訂正して失点を1点防ぐことは等価値です。そして、後者の方が圧倒的に難易度が低く、時間もかかりません。
ですので、どんなに時間がなくても、書いた文章の見直しは怠らないで下さい。
また、誤字脱字チェックの他の項目については、やや大掛かりな修正になることもあります。残り試験時間との兼ね合い次第ですが、貪欲にプラス1点を狙って見直しを行なって下さい。
最後に・・・
以上が、ざっくりとした80分の時間の使い方です。
上記のやり方は1例に過ぎませんが、サイト主人が3回の2次試験を通し、紆余曲折を経て築いた手法です。
特に、1回目の受験の方や独学での受験者にとっては、参考になる点もあろうかと思います。是非何度か読んで、このメソッドのエッセンスを吸収して下さいね。