中小企業診断士2次対策|数字が苦手な文系が、足切りを回避する為の事例4攻略法

中小企業診断士の1次試験は、最大5択のマークシート形式です。 鉛筆を転がせばある程度得点できるので、数字が苦手でも何とか乗り切れた人も多いと思います。

しかし、2次試験は全て記述試験。下手したら足切りされる可能性もあるため、特に文系寄りの受験者は戦々恐々としていると思います。

という訳で今回は、数字が苦手な文系の受験者でも、足切りを回避して合格点まで到達する方法について、解説していきたいと思います。

早速見ていきましょう。キーワードは、「丸暗記」です。

基本戦略

最低でも40点をもぎ取り、あわよくば60点を取るための基本戦略は、以下の通りです。

  • 暗記系の科目だと思って、事例4対策を行う
  • 覚えたことは、瞬解できるレベルまで練習する
  • 最初の財務諸表問題では、確実に18点以上を取る
  • 各大問の簡単な問題を見つけ、分かる問題を確実に解く
  • 記述問題は、とにかく埋めて部分点を狙う(この記事では解説せず)

いずれも、資格試験における王道的な勉強法ですが、極めて再現性の高い手法です。

では、順番に見ていきましょう。

最初の財務諸表問題対策

最初の財務諸表問題については、丸暗記で対応可能です。

分類指標
収益性売上高総利益率、売上高営業利益率、売上高経常利益率
安全性当座比率、流動比率、固定長期適合比率、固定比率、自己資本比率
効率性棚卸資産回転率、売上債権回転率、総資本回転率、有形固定資産回転率


大問1は、収益性・安全性・効率性から特徴的な指標を1つずつ選んで計算し、「良い理由」もしくは「悪い理由」を書くだけです。選ぶ指標は、上記の12種類以外にはありません。

例えば、このH29年の事例4の問題。

D 社と同業他社のそれぞれの当年度の財務諸表を用いて経営分析を行い比較した場合、D社の課題を示すと考えられる財務指標を2つ、D 社が優れていると思われる財務指標を1つ取り上げ、それぞれについて、名称を(a)欄に、財務指標の値を(b)欄に記入せよ。なお、解答にあたっては、①、②の欄にD社の課題を示す指標を記入し、③の欄にD 社が優れていると思われる指標を記入すること。また、b欄の値については、小数点第位を四捨五入し、カッコ内に単位を明記すること。 

D 社の財政状態および経営成績について、同業他社と比較した場合の特徴を40字以内で述べよ。

上で述べたことがそのまま出題されています。たった12項目暗記して、計算ミス無く解けば、それだけで満点である20点が取れるのです。

実は、事例4の問1というのは、2次試験の全ての事例問題の中で最もコスパの良い問題です。この12個の指標を覚えるだけで20点近く取れると考えれば、暗記するやる気も湧いてくるのではないでしょうか?

そして、大問1で20点獲得できたら、後は20点取るだけで足切り回避というわけです。

足切り回避のために覚えるべきこと

足切り回避のために、残りの20点をどうやって取るかと問われれば、結局また「丸暗記」です。

  • 限界利益=売上高-変動費
  • 損益分岐点=固定費/(1-変動比率)
  • 有利子負債利子率=支払利息/(借入金+社債)
  • 平均的な負債費用=支払利息/(借入金+社債+支払債務)
  • 営業レバレッジ=限界利益/営業利益
  • 貢献利益=売上-変動費-固定費(個別管理可能固定費+個別管理不能固定費)
  • 営業CF=税引後営業利益+減価償却費-運転資本増減
  • FCF=税引後営業利益+減価償却費-運転資本増減-投資額
  • NPV=毎年CFの現在価値-初期投資額の現在価値
  • WACC=D/(D+E)*rD*(1-t)+E/(D+E)*rE


上記の計算式は、「予め覚えるべきこと」です。「頭で考えて導くこと」ではありません。

試験では「上記の式を、覚えているかどうか?」というシンプルな問題が、何問も出題されているのです。しかも、事例Ⅳの試験では毎年同じような問題を使い回していて、上記の数式はいずれも数年に1度は確実に出題されていますので、定義通り解くだけで点数がもらえます。

数としては10個前後ですから、結構楽ではないでしょうか?毎日念仏のように唱えたり、基本問題を繰り返しやっていれば、勝手に覚えられると思います。

また、上記の言葉の定義を覚えて計算できるだけで、足切りが回避出来るどころか、合格点すら見えてくると考えれば、覚えるやる気も出てくるのではないでしょうか?

プラスαでの解法暗記

上記の計算が確実にできれば、足切りになることはまずありえないと思いますが、プラスアルファで得点を取りたい人のために、あと4つ問題類型について概要だけ書いておきます。

損益分岐点問題

損益分岐点の求め方、安全余裕率の求め方を覚えるだけでOKです。

また、その変化球として、

  • 固定費をいじらずに、損益分岐点売上高を下げるパターン
  • 固定費を下げて、損益分岐点売上高を下げるパターン
  • 営業利益(経常利益)を〇〇円にする売上高を求めるパターン

を覚えれば十分です。


損益分岐点問題は、難易度が低い問題が多いので、各パターンの解き方を暗記しましょう。 最近ですと、H27の大問2、H28の大問4など、立て続けに出題されており、頻出問題であることが分かりますね。

デリバティブ・為替ヘッジ問題

難易度は極めて低いのですが、対策不足により得点できない人が意外と多い分野です。

  • 輸入業者が為替予約するときのメリット・デメリット
  • 輸出業者が為替予約するときのメリット・デメリット
  • 輸入業者が買うべきオプションと、そのメリット・デメリット
  • 輸出業者が買うべきオプションと、そのメリット・デメリット

この4パターンだけ覚えれば十分です。これは、理解や計算というよりは完全に暗記の領域ですから、とりあえず覚えてしまいましょう。

ちなみに直近だと、H26の大問4にてそのまま出題されています。

D 社では、再度、コーヒー豆を直接買い付ける可能性を探ることにした。しかし、以前のような為替差損を計上する恐れがあるため、この為替リスクを軽減する手段の検討に入った。為替リスクを軽減する手段を2つ挙げ(a)、それぞれの手段を用いた 際、円安になった場合と、円高になった場合の影響(メリット・デメリット)(b) について述べよ。


配点は16点も設定されており、暗記出来ていた人は満点近く得点できていたと思います。

キャッシュフロー計算問題

営業CF、財務CF、投資CFの各項目について、計算方法を覚えればそれだけで点数が取れます。特に、営業CFが最も試験に出ますし、プラスマイナスが混乱しやすいので、しっかりと理解しておくことが重要です。

実際、直近ではH28年の第2問・設問1にて、営業CFを穴埋めさせる問題が出題されています。

https://www.j-smeca.jp/attach/test/shikenmondai/2ji2016/d2j2016.pdf

この問題自体は、「営業CFのルールを知っていれば解ける、知らなければ解けない」という暗記問題そのものです。

投資判断問題

事例4の中では、最も難しいことが多い問題です。 投資判断系はCF問題の応用なので、まずはCF問題を完璧に解けるようにしておきましょう。

その上で、「〇〇円投資して、減価償却は毎期××円で、これによって売上高が△△円増加するが、販管費も□□円増加を見込む」という、最もオーソドックスなタイプの投資判断問題の解き方だけ完璧に覚えておきましょう。

投資判断関連問題については、全ての基本は上記のパターンです。この基本さえ覚えておけば十分です。

ちなみに応用問題としては、

  • 設備投資に伴う運転資金が発生するケース
  • 古い設備を売却するケース
  • 設備投資を最後に売却するケース
  • 売却に伴い、売却益・売却損が発生するケース

などがあります。

ただ、結構複雑な問題が多いので、最初から捨ててしまっても良いと思います。

難しい問題に時間を使ってパニックになるよりは、解ける問題を確実に得点に結びつけることが重要なので、その辺の見切りは付けられるようにしておきましょう。


最後に・・・

いかがでしたか?

何度もお伝えしているように、財務は丸暗記で対応できます。パターンも限られており、覚えることも非常に少ないのが特徴です。暗記は文系の得意分野だと思いますので、その暗記力を遺憾なく発揮してもらえればと思います。

そして、後は覚えたことが確実かつ素早く出てくるように計算練習をするだけです。「基本的な事項の復習に時間を割き、簡単な問題では絶対に失点しない」というスタンスで、徹底的に基本を復習していきましょう。

80分という試験時間はあっという過ぎてしまいます。検算や見直しの時間も必要ですので、何度も練習してスムーズに計算できるようにしておきましょう。